千葉県出身
タカハシマホの作品は、時代を象徴する少女像なのである。 人類の歴史とともに古くから人々は、自然物が創作の対象であったが、1980年代以降の生まれはインターネットのある生活環境で育ち、アニメ、漫画、ゲームは創作のモチーフでもあった。彼女は、いわばデジタルネイティブな世代に属し、多くの影響を受けている。 タカハシマホが慣れ親しんできたコンテンツの中での登場人物たちは、ヒーロー、ヒロイン像としてわかりやすく描かれ憧れの対象であったと共に、強く美しく描かれていた。 しかし彼女の描く少女像は、いわゆるオタク的日本文化の中での見慣れた姿をしていない。装飾の施されていない、シンプルで無垢な存在なのである。それは、彼女がデザインを学んだことも理由に挙げられるが、幼少期への執着ゆえのものでもあるといえる。 タカハシマホの作品の原点は、過去の経験や体験である。 作品に登場する少女像「あの子」は、重要なパーソナリティーが形成される幼少期を可視化したものとして使用されている。パーソナリティーとは、遺伝と環境の相互作用の中で、事故や病気等による外的要因を除いて、変化、発達しながら形成されると考えられている。全ての記憶と経験が人として成育するうえで重要な軸となり、支えとなるのだ。それらは大人になった現在、社会の不条理の中で、「あの子」という存在は、生きていくうえで自分自身を守るための聖域であり、ヒロイン像とも異なる見た目は多様性の象徴にもなりうるのだ。
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●「Slice/美少女戦士は世界を救えない」/ 2021 / 530×530mm / Brass leaf. acrylic on wood panel
●「Slice/もしもボックス」/ 2021 / 530×530mm / Brass leaf. acrylic on wood panel