【プロフィール】
人形師。1986年、福岡市出身。明治時代から続く博多人形師の家に生まれた4代目。2011年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了後、父・中村信喬に弟子入りし、家業を引き継ぐと同時に、従来の概念を打ち破る斬新な作品を発表している。また、伝統的な人形のあり方をアップデートしたアスリートシリーズの作品によって、第三回金沢・世界工芸トリエンナーレで優秀賞を受賞するなど、活躍の場を広げている。2018年、美術画廊X-日本橋髙島屋にて個展開催。2019年には、POLAミュージアムアネックスで個展を開催している。
【ステートメント】
さあ来いと、眼光鋭くミットを構えたキャッチャー。
ラガーマンに見立てられた色鮮やかな御所人形。
「不老=FLOW」と命名された、ポップで煌(きら)びやかなスニーカー。
中村弘峰は果敢な挑戦で、伝統の世界に新風を吹き込んでいる。
明治時代から続く博多人形師の家に生まれた、若き4代目。
2011年に東京藝術大学修士課程を修了。父・中村信喬に弟子入りした。
人形の本質とは何か?
彼は「人の祈りを形にしたもの」だと答える。
どうか健やかであれ。逞しくあれ。美しくあれ。栄えあれ。
武将や美人。金剛力士や金太郎、雛人形、若武者姿の桃太郎。
古くから人々は、大切な誰かを思う気持ちを人形に託してきた。人形を介在させることで、祈りを届けてきた。
自分が息子を授かって、彼は考えた。
たとえば古典的な五月人形に込められた「祈り」や「憧れ」を、今という時代に体現させるなら、その英雄像は何になるのか。
アスリートに見立てた御所人形は、彼自身のわが子への深い祈りから生まれたものだ。しかもシリーズには、友人の兄であるパラ・アスリートをモデルにした作品もある。〝健やかさ〟の定義もまたアップデートされるべきだと考えたからだ。
伝統への謙虚な姿勢と、今を生きる者としての自在な精神。
祈りという、人が人である証を媒介していく美。
中村弘峰の技とイマジネーションは、日々に進化しながら、そのふさわしい形を探求し続ける。
(B-OWND)
【略歴】
- 1986年
- 福岡県福岡市出身
- 2009年
- 東京芸術大学美術学部彫刻科卒業
- 2011年
- 東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
- 2011年
- 人形師で父の中村信喬に師事、福岡県太宰府天満宮干支置物制作、博多祇園山笠土居流 舁山制作
- 2015年
- 古代力士像 住吉神社/福岡
個展
- 2018年
- 「Tiny Spirits」 現代陶芸釉里 /福岡
- 2018年
- 「MVP(Most Valuable Prayers)」 美術画廊X-日本橋髙島屋/東京
- 2014年
- 「スサノオ〜神々の肖像〜」 ギャラリーマルヒ/東京
グループ展
- 2018年
- 「蒐集衆商」 スパイラルガーデン/東京
- 2018年
- 「立体新旗手展―それぞれのカタチー」 日本橋三越/東京
- 2017年
- 「九州次世代展」 九州国立博物館/福岡
- 2017年
- 「蒐集衆商」 スパイラルガーデン/東京
- 2014年
- 「MOA岡田茂吉賞新人賞部門」招待出品 MOA美術館/静岡
- 2012年
- 「豊福智徳プロジェクト」 太宰府館/福岡
- 2011年
- 「 帰ってきた りったいぶつぶつ展 ~現代作家による立体アート~」 Bunkamura Gallery/東京
- 2010年
- 「PLAYROOM~ゲエムは生活の頂点だった~」 Gallery artsynapse/東京
- 2010年
- 「東方三博士の彫刻」展 藝大アートプラザ/東京
- 2009年
- 「アトリエの末裔あるいは未来」 台東区書道博物館/東京 「彫刻の五・七・五」 沖縄県立芸術大学/沖縄
アートフェア
- 2017年
- 「東美アートフェア」 東京美術倶楽部/東京
入選、その他
- 2017年
- 伝統工芸創作人形展in金沢 中村記念美術館賞受賞
- 2016年
- 第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ コンペティション部門 優秀賞受賞
- 2015年
- The Crystal World: Kingfisher 樟風荘/大分 湯布院
- 2015年
- 第50回西部伝統工芸展 福岡市長賞受賞
- 2014年
- 第49回西部伝統工芸展 初入選 日本工芸会賞受賞
- 2013年
- 第60回日本伝統工芸展 初入選 新人賞受賞
- 2009年
- 日本芸術センター第1回彫刻コンクール 審査員賞受賞 三菱地所賞受賞 (東京藝術大学卒業制作)
- 2008年
- 第3回藝大アートプラザ大賞 大賞受賞
- 2007年
- 第2回藝大アートプラザ大賞 準大賞受賞
- 2006年
- 第1回藝大アートプラザ大賞 大賞受賞