本当の姿ではないはずの形によって、見ている世界が現実に現れてしまうところに、制作の
喜びを感じている。
私は、色で染めた紙をはりつける方法で作品を作っている。世の中ではりつけられるあらゆ
るものは、事物を文脈から切り取って、その切り取られた輪郭を強調している。だからどんな
はりつけられたものにも、切り取りがにじみ出て見える。世界のどこを切り取り、どんな風に
はりつけるのかが、はりつけの彫刻を作る際の私の仕事なのである。そして、彫刻を作ること
が、ものの表面の内側に世界を作ることへと変わる。
色に染められた紙を貼るという制作は、貼る指の触覚を次々と視覚に置き換える。なぜなら
、色に染められた紙が目指す景色はいつも、私が今まさに触れている表面から、少し離れた事
物だからだ。事物の表面は彫刻の表面とイコールではなくなる。この時私は彫刻を実感する。
視線や認識の眼差しに耐えながら、目の前でただ存在しようと差し迫る存在を感じる。
本当の姿ではないはずの形。それを見るときは、見ていなかった世界が現実に現れる瞬間で
もある。
1999年 広島県出身
2022年 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業
2024年 東京藝術大学美術研究科彫刻専攻修士課程 修了
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻彫刻研究領域博士後期課程 在学中
COMING SOON...
COMING SOON...
COMING SOON...
このアーティストの作品はまだありません。